ITmediaエンタープライズの特集「真説: 人工知能に関する12の誤解」からふたつの記事をまず紹介します。まだ連載進行中の全12回シリーズの中からピックアップします。わかりやすいだけでなく、関連分野の中からいろいろ興味深い逸話なども引き合いに出してくれているので引き込まれて読むことができるシリーズです。人工知能の本質も感じさせられます。そのあとにwiredとDIAMOND ONLINEの記事をピックアップして紹介します。

 

人工知能を単なる「自動化の道具」だと勘違いしていないか

ITmediaエンタープライズの特集「真説: 人工知能に関する12の誤解」の3回目の記事です。人工知能領域で事業を行っている企業をまとめた図「The Current State of Machine Intelligence」の紹介から入っていますが、人工知能領域で事業を行っているメインプレイヤーが既存産業で活躍する企業が多くを占めていることを紹介してくれています。

「人工知能業界」というような特定の業種があるというよりは、人工知能に関連する手法を用いて、既存産業で変革が起きていることのほうが重要であり、人工知能は自動化の道具というよりもそれも実現する価値のひとつではありますが、各種の付加価値を提供することのできる道具だと解説してくれています。

人工知能はあらゆる産業をアップデートして、産業構造も変化させていきますが、そのような世の中で、ひとびとに求められるのは「創造性(creativity)」であり、人工知能時代に人間に必要なのは、“deep learning”ではなく“keep learning”であると、ドラッガーのことばを紹介して、この回の記事をしめています。

特に知識社会においては、継続学習の方法を身につけておかなければならない。内容そのものよりも継続学習の能力や意欲のほうが大切である。ポスト資本主義社会では、継続学習が欠かせない。学習の習慣が不可欠である。(ポスト資本主義社会 P.255)

 

「人工知能ってどこでダウンロードできるんですか?」→無理です

ITmediaエンタプライズの特集「真説: 人工知能に関する12の誤解」の5回目の記事です。人工知能について全くわかっていない人がよくする質問として「人工知能ってどこでダウンロードできるんですか ?」という質問があるという紹介が導入部となっていますが、人工知能の中のひとつの重要な技術領域である「機械学習」の概要の紹介と、機械学習の限界をわかりやすくかつ興味深く紹介してくれているいい記事です。

人工知能ではありませんが、機械学習にも関連のある統計分野のひとつであるOR (オペレーションズリサーチ)の分野で有名な話としてハンガリー出身のエイブラハム・ウォルドの「爆撃機の話」と「選択バイアスのワナ」については機械学習に与える「データ」によって機械学習によりできあがる学習モデルとその予測結果は決まりますが、どのようなデータを与えるかはあくまでも「人」が決めており機械学習ができるのは「特定領域における最適化」であって、いまのレベルの人工知能自身が新ビジネスを生み出すことはなく、そこはまだまだ人間の領域の仕事であるという解説は非常に説得力があります。

 

あの人工知能の権威が教育の世界へ──「AIの活用法」を学ぶオンライン学習コースを展開

Wiredの人工知能に関連する記事のひとつです。著名なAI研究者のアンドリュー・エンが百度を退職して始めるビジネスがディープラーニングを学べるオンラインコースであることを紹介しています。

エンによればこの学習コースは、マシンラーニングの恩恵を、グーグルや百度といった大手テック企業だけでなく、より広い領域にもたらすためのものとのこと。

エンは『WIRED』US版に対して次のように語ったとのことです。「ナイーヴな考えだと思われるかもしれませんが、わたしは人々がAIを活用した新しい社会を築けるようにしたいのです。このような社会を築く唯一の道は、AIのスキルをもった大勢の人が、自分たちの街に水を供給する方法を改善したり、途上国経済への資源の割り当てを支援するといった取り組みに参加することです」

人工知能の技術はこれからのひとびとに必要となるリテラシーのひとつなのかもしれません。

 

成毛眞が明かす AI時代に生き残るためのたった一つの条件

DIAMOND ONLINEに転載されたAERA dot.の記事ですが、元マイクロソフト社長・成毛眞が説く理系脳とは? 最新刊『理系脳で考える』の内容の紹介となっています。

成毛氏自身が文系出身とのことですが、ここでいう理系脳とはすなわち、これからも急速に変化する科学や技術の分野にキャッチアップできる柔軟性と進取の気性を併せ持っていること。

コンピュータの普及する前からみながパソコンやスマホを使うようになったいまを引き合いに出してコンピュータを使えることが理系文系を問わずに必要なったのと同じように新しく人工知能がリテラシーとして必要となり、それによって自分のできることがエンパワーされるならば、これからの時代では人工知能をリテラシーとして身につけ、活用して、創造性の必要とされる、いまとは違う何か価値のあるものを生み出す仕事をしていくのがこれからの仕事になるようです。

自分にもついていけるか心配にならなくもありませんが、よりわくわくする仕事が増えていくようにも
感じられますね。