今年のSXSWは日本からの出展も大幅に増えて、「日本が一番すごい」という感じだったようですがその中でも目を引いた電通・博報堂という広告エージェンシーの出展をレポートした記事をまずご紹介します。その後に、イーロンマスクのスペシャルシークレットゲストとしての登壇の様子レポート。また、ソニーの出展内容レポートとともに、SXSWのイノベーションアワードのレポートをご紹介します。

 

電通・博報堂、 SXSW で「エージェンシーの未来」を示す:オープンイノベーションで挑む 未踏領域

DIGIDAYのSXSWのレポート記事、今年は日本からの出展や日本人の参加がだいぶ増えたようですがその中でも、大きな出展スペースを構えていていた電通と博報堂の出展をとりあげています。

電通のブースでメディアにも多く取り上げられたのが、「スシテレポーテーション(SUSHI TELEPORTATION)」食情報をデータ化し、食感や味、栄養素までを遠隔から伝送して、ロボットがスシの形をその場で再現するものです。ほかにも4つほどのプロトタイプを出展していて、電通の特徴的なのが外部とのコラボレーション・プロジェクトが多いこと。「スシテレポーテーション」は山形大学、デンソーウェーブ、東北新社と協力、「ルナビティ」は東京大学学生チームとの連携となっています。

また、博報堂のブースには、深層学習で人の感情を読み取りリアクションする3DCG(3次元コンピューターグラフィック)の女子高生「サヤ(Saya)」や、しっぽのついたクッション型セラピーロボット「クーボ(Qoobo)」など体感型の展示が多く、言葉ではない接触を通した顧客とのコミュニケーションに主軸が置かれています。

電通・博報堂からともに感じられたのは、自社からイノベーションを生み出さなければならないという危機感。マス広告から体験型のコンテンツと顧客が広告に求めるニーズが変化しているのはもとより、テクノロジーの進化など、いま未来の広告の形を想像し、試さなければ時代の流れに広告が置いていかれるという危機感がにじみ出ていたようです。

オープンイノベーションの鍵は、外部組織との連携ですが、エージェンシーはもともと仲介的な立場を担うため、電通や博報堂にとっては得意領域ともいえます。さらに、広告代理店が持つクリエイティブ能力やユーザーコミュニケーションを把握し尽くした強みを相乗させれば、オープンイノベーションはますます加速しそうです。

 

イーロン・マスクが語る「火星・AI・ビジネス」

フジテレビが運営するニュースサイト「ホウドウキョク」のSXSWレポート記事。

オバマ大統領、レディガガ、プリンスなどの大物セレブリティが今までも参加してきたSXSWのスペシャルシークレットゲスト。今年は映画『Ready Player One』のワールドプレミアに現れたスピルバーグと、もう一人は自動車のTesla社、宇宙開発のSpaceX社創業者のイーロン・マスクでした。登場したイーロン・マスクに、会場はスタンディングオベーションで出迎えたようです。

昨年秋にイーロン・マスクはスペースX社として火星移住計画を発表していますが、そのプロジェクトに対して何か手伝えることはないか?という会場からの質問に対して「火星、月を目指すには、多くの人々の支援が必要になる。やるべきことはたくさんある。危険はたくさん伴うが、それよりも挑戦できることがたくさんあるので多くの起業家が参加できるような仕組みを考えている」と答えるとともに、「スペースXの競合が現れることを願っている。もっと多くの企業が宇宙産業に参加することを希望している」と発言したようです。

 

ソニーの「未完成品」を並べた展示会。これでハードルは下がる?

こちらも「ホウドウキョク」のSXSWレポート記事。ソニーの展示をレポートしています。ホウドウキョクには合計20のSXSWレポートがあります。興味がある方はご覧ください。
https://www.houdoukyoku.jp/special/40

ソニーブース、去年と比較して、VRゴーグルなどをつけなくても体験できるコーナが大幅に増加。その中でも目を引く展示として取り上げられているのが、「音のVR」、音に包まれる体験ができるとのこと。ソニーの波面合成技術を使うことで、その場所に立っているだけで、まるで音に包まれたような感覚になるようですが、音響回廊”Odyssey(オデッセイ)”では、その技術を使ってサウンドで時空を旅するような不思議な体験ができるようです。サウンドアーティストevalaのダイナミックな音と、デジタルメディアアーティストKimchi and Chipsによる幻想的な光を、ソニーの技術で芸術として作り上げた展示です。

SXSWのコンセプトは「音楽」「フィルム」「インタラクティブ」の様々なジャンルの人たちが集まって、対話をすることで新しいものを生むというものですが、まさにそれを実現したような取り組みです。

 

日本勢は連覇ならず。SXSWイノベーション・アワードが発表

こちらも「ホウドウキョク」のSXSW記事でSXSWの今年のイノベーション・アワードをレポートしています。イノベーション・アワードは、2007年にはTwitter、2011年にはAirbnbがアワードを受賞して一躍有名になったものですが、毎年3月に発表されるこのアワードは、今やスタートアップ企業の登竜門と言われています。去年は「STUDENT INNOVATION」部門で、東京大学の学生チーム「BionicM」がアワード受賞の快挙を成し遂げています。

今年のSXSW2018で日本企業からは、「AI & MACHINE LEARNING」部門に日本のアカツキが手がけたMR卓球アクティビティ『PONG!PONG!』がファイナリストにノミネート。また、同じ部門には北米トヨタが提出した『Toyota Mirai-AI』もファイナリストにノミネートされていたが、どちらも受賞とはなりませんでした。

「AI & MACHINE LEARNING」部門でアワードを受賞したのは、サンフランシスコの企業が開発した「SWARM AI」。スウォームとは「群れ」という意味。「人間の群れ」をオンラインで統合するインターフェイスとアルゴリズムで、多様なグループの知識、知恵、洞察力、直感をつなぎ、知性を大幅に増幅するというAI(人工知能)。鳥やハチ、魚、アリでさえ、きちんと家に戻ることができるのはなぜかということに注目し、「群れ」を形成すると問題解決に向けた知的能力が上がると推測し、人間に応用したもの。

スウォームAIシステムを使用して、5週間にわたる英国プレミアリーグサッカー50試合すべてを予測したところ、単独では平均55%の精度だったが、群れの中で一緒に予測すると72%の予測精度に増幅されたとのこと。
「スウォームAI」は、名前を付けるとすれば「群知能」。今後のトレンドとなりそうです。