不動産業へのブロックチェーン技術の適用に関する4本の記事を紹介します。まずはニッセイ基礎研究所のWebサイトに掲載されている解説記事。その後に、実証実験と世界初の本格システム開発に関する発表記事を二本紹介します。最後に、慶応大学の研究員の方によるスマートコントラクトによる土地売買の解説論文を紹介します。

 

不動産業へのブロックチェーンの応用可能性

ニッセイ基礎研究所のWebサイトに掲載されている金融研究が研究員の佐久間誠さんの不動産テックの動向とブロックチェーンの応用例についての解説記事です。

xxTechという言葉がバズワードとなっていますが、その中のひとつとして不動産テック(Real Estate Tech)とは、IT技術と不動産の融合による技術革新を目指す取り組みのことであるというところからはじまり、今後不動産テックにおいて注目される分野としてブロックチェーン技術の活用が不動産業の労働生産性を大幅に向上させる可能性があると解説しています。

不動産でのブロックチェーンの応用分野としてあげてくれているのは、以下の3つです。
1 不動産登記を含めた不動産情報の記録・管理
2. スマートコントラクトによる不動産取引の電子化・自動化
3. IoTによる不動産管理の効率化

2017年4月の規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループでは、不動産登記にブロックチェーンを活用すべきとの提案もあり、不動産情報プラットフォームをつくることも議論が始まっているようです。

いつパン的には、2. がよく取り上げられると思いますが、不動産取引には多くの契約が伴い、また紙での契約書を用いることがまだ一般的ですが、スマートコントラクトを活用すれば、契約書を電子化できることに加えて、契約に付随した資金決済や不動産登記などの業務を自動化して確実に実行されることを保証できるようになります。

 

ブロックチェーンを活用した不動産情報共有・利用実証実験

株式会社LIFULのプレスリリースです。株式会社LIFUL、株式会社カイカ、テックビューロ株式会社がブロックチェーンを活用した不動産情報共有・利用の実証実験を開始することを発表しています。

実証実験の開始にあたっての背景として、深刻化する空き家問題への対応や既存住宅の一層の流通促進が求められる中で、これまでばらばらに管理されていた情報の一元管理だけでなく、閲覧権限やその所有権の移転など、ブロックチェーン技術を利用する事で不動産情報の透明性が高まり、不動産の利用や活用とひいては市場の活性化が期待できるとしています。

この実証実験では、不動産・住宅情報サイトHOME’sのデータを使って、散在している不動産情報の紐付けをブロックチェーン上で接続・共有する仕組みとその有効性を検証していくとのことです。

ブロックチェーン技術としては、テックビューロ社のプライベートブロックシェーン製品mijinを使うとのこと。テックビューロ社は暗号通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発するとともに、仮想通貨取引所Zaifの運営も行なっています。また、テックビューロ社のインテグレーションパートナである株式会社カイカがmijinのインテグレーションを行うようです。

 

積水、世界初のブロックチェーン活用した不動産情報システム構築

ロイターの記事です。
積水ハウスが、ブロックチェーン技術を活用して不動産賃貸契約を実行する新たな「情報システム」を2018年夏以降に首都圏で稼働させるとの報道です。不動産分野で同技術を駆使したシステムによる本格的なビジネス展開は、世界でも初めてとみられるとのことで、本システムが稼働すれば物件情報収集から入居契約まで手元のアプリで手続きが可能となり、コストや時間を大幅に削減できるとのこと。

積水ハウスでは昨年4月からbitFlyerの開発によるブロックチェーン技術を活用して、物件検索から入居手続きまでアプリを通して従来より簡単に済ませることができるシステムを開発していて、現在、ほぼ自社の管理する物件情報をブロックチェーンに乗せるところまで進めてきているようです。現在、実際の不動産契約における運用面の課題・導入計画などを検討中。

18年度中に首都圏でパイロット運用開始し、19年度をめどに順次、規模・エリアとも運用拡大、20年の本格運用を目指したいとしています。

 

スマートコントラクトによる土地売買を考える

慶應大学SFC研究員の斎藤さんによる「土地総合研究 2017年夏号」への寄稿です。スマートコントラクトによる土地売買とはどのような仕組みのものかを解説してくれています。

筆者はプログラマ向けにイーサリアムにおけるプログラミングが体験できる「スマートコントラクトプログラミング」の講義を行なっているようですが、本記事の第4章で解説しているシンプルなスマートコントラクトによる土地売買のモデルはの講義の最終課題として出題している例題とのことです。概ね30分程度でかける簡単なコードで実際に記述して動かすことができるとのこと。

ブロックチェーン・スマートコントラクトも技術的には以外と身近なもので実用されるものを目にするのもちかいのかもしれません。