Google Cloud Next Tokyo ’19をとりあげたオンラインメディアの記事から4本をピックアップして紹介します。

 

Googleが“激戦”クラウド業界に投じた切り札 「Anthos」とは何か

ITmediaエンタープライズがGoogle Cloud Nextをマルチクラウド戦略という視点から紹介している記事です。

Google Cloudの業績は順調。直近の2019年第2四半期の事業成績から、年間の売り上げは推定で80億ドル程度。Googleは日本市場への投資を加速している。既に国内クラウドデータセンターとなる「東京リージョン」を開設した他、2019年5月には日本で2つ目、世界では20番目となる「大阪リージョン」を追加。

今回のイベントでGoogle Cloudが示した1つの重要な変化があるとマルチクラウド戦略についてふれています。自社パブリッククラウドだけを利用してもらう従来の戦略から、ハイブリッドクラウド、マルチクラウド戦略へと大きく舵を切った“戦略転換”について解説しています。

Googleが2019年4月発表したクラウドOS「Anthos」は、この戦略転換を支える布石。Anthosは、「Kubernetes」「Istio」「Knative」などのオープンソース技術を活用して構築されたプラットフォーム。Anthosを使えば、開発者はどのクラウドインフラを使うか気にすることなく、アプリケーション開発に注力できる。その際、サービスメッシュ(注)やコンテナ、マイクロサービスなどの先端技術を用いたアプリケーションの構築、運用も容易になるとのこと。

Anthosは、オンプレミス環境をはじめ、Google Cloudでも、他のパブリッククラウドでも動く。業界標準に準拠し、ベンダーロックインも発生しない。またAnthosはGoogleだけが推進しているわけではなく、多くのテクノロジーパートナーと協業。特にIntelやCisco、Dell Technologiesなどのハードウェアパートナーと綿密に連携し、ハイブリッドクラウドのワークロードを検証済み構成に合った形で動かせるようにしているようです。

旧来のシステムで使っていたアプリケーションを最新の環境でそのまま使えるよう“モダナイズ(近代化)”するには、通常は既存アプリケーションをクラウドに移し、その上でコンテナ化する方法が使われる。だがAnthosを使えば、アプリケーションをオンプレミス環境に置いたままで同じニーズをかなえ、クラウド環境を十分に整えてからアプリを移行できる。もちろん最初からAnthosでアプリをクラウド化することも可能。どの場合も、既存のアプリケーションに変更を加える必要はない。

Googleが発表した“既存アプリケーションの近代化ツール”が、「Migrate for Anthos」。同製品は、VMwareなどが提供する仮想マシンで動くアプリケーションを自動変換し、Kubernetes化できる。

そのほか、基調講演でのJR東日本の取締役副会長を務める小縣方樹氏の講演など、Googleのクラウド展開について紹介してくれています。

 

Google Cloud Next ’19 in Tokyoで発表された新製品・サービスを紹介

クラウドWatchのGoogle Cloud Nextの紹介レポートです。基調講演で新発表されたサービスや製品についてまとめてくれている記事です。

まず紹介しているのが、Google製のFIDO準拠のセキュリティキー「Titanセキュリティキー」。米国だけでなく、日本、イギリス、フランス、カナダの4国でも販売開始した。Googleストアの日本語ページで販売しており、USBタイプとBluetoothタイプが同梱されて販売価格は6000円。

次に紹介しているのが、Migrate for Anthos。アプリケーションの動く仮想マシンをコンテナに変換するもの。4月の米「Google Cloud Next ’19」で発表され、今回ベータ版として一般公開された。Migrate for Anthosにより、オンプレミスやGoogle Compute Engine、その他クラウドなどで動いていた仮想マシンを、GKE(Google Kubernetes Engine)やAnthos(GKE相当のハイブリッドクラウドプラットフォーム)上に移行できる。これにより、既存アプリケーションのリフト&シフトによるモダナイズを実現できる。

Cloud Runは、コンテナイメージを指定するだけで、あとはよしなに動かしてくれ、使った分だけ従量課金されるという、一種のサーバーレスプラットフォーム。Kubernetesで動くオープンソースのKnativeをベースにしている。 Cloud Runはこれまでus-central1(米アイオワ)リージョンだけで利用できたが新たに、東京リージョンでも利用できるようになりました。

またGoogle Compute Engine(GCE)では、AWSやオンプレミスから仮想マシンを直接移行するMigrate for Compute Engineを提供していますが、新しく、Microsoft Azureからの仮想マシンの移行が、ベータ版として対応されたことが発表されました。

会期中にGoogle CloudとVMwareが提携し、Google Cloud上でVMwareのワークロードを動かすGoogle Cloud VMware Solution by CloudSimpleが発表されました。これも今回基調講演の中で紹介されています。

 

Google CloudはAnthosで「次のVMware」になろうとしている

@ITのGoogle Cloud Nextのレポート記事です。分散データベース「Cloud Spanner」とマルチクラウドコンテナ環境の「Anthos」に焦点を当ててGoogle Cloud Nextを紹介している記事です。

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は、Google Cloud Platform(GCP)で稼働するクラウドベースの金融基幹システムを開発中で、そのFFGが次世代バンキングシステムの研究・開発のために設立した戦略子会社、ゼロバンク・デザインファクトリーの取締役COO、永吉健一氏が「Google Cloud Next Tokyo ’19」で講演した内容をまず紹介しています。

その開発中の次世代システムはアクセンチュアが開発した金融基幹システム「MAINRI」をベースにしているとのこと。MAINRIは、GCPのコンテナサービス「Google Kubernetes Engine(GKE)」、データウェアハウスサービス「BigQuery」、分散データベースサービス「Cloud Spanner」を活用するなど、全てがGCP上で稼働するように設計されている。

Cloud Spannerは、Google Cloudが2017年2月に発表し、同年5月に東京リージョンで提供を開始した、グローバルなOLTPを可能にする分散データベースサービス。国内企業の間で、これを採用する事例が目立つようになってきたとのこと。特にゲーム業界での活用例が増えているが金融サービスでも、メルペイがデータベースとしてCloud Spannerを使っているという。

次に焦点をあてて紹介しているのがAnthos。Google Cloudが今回のイベントで最も強くプッシュしたものでね「気軽に実行できるアプリケーションのモダナイゼーション手法」という表現が、同社の狙いを示しているとのこと。

ユーザー組織がAnthosを、オンプレミスのITインフラ(VMware vSphere)上に導入すると、その後はセキュリティアップデート、バージョンアップなど、コンテナ基盤の基本的運用をGoogle Cloudが担う。オンプレミスのコンテナ基盤はGKE上の自社コンテナ環境と統合管理できる。また、AnthosはAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureにも導入可能としており、「OSSでマルチクラウドを実現できる」とGoogleは紹介しています。

AnthosにおけるGoogle Cloudの狙いを最も分かりやすく表現すると、「次の時代のVMwareになろうとしている」ということになるとも記事の中で解説しています。VMwareは、サーバ仮想化によってさまざまなサーバハードウェアを抽象化するプラットフォームを構築し、サーバ統合や運用自動化などの価値を提供してきた。だが現在、多くの企業が進めようとしているのはハイブリッド/マルチクラウドの活用であり、異種クラウドの抽象化が、次のテーマになってくる。そこで抽象度を上げ、異なるクラウドをコンテナレベルで抽象化するプラットフォームを提供するというのが、Anthosの狙い。オンプレミスやGCP以外のパブリッククラウドでAnthosを使ってくれれば、まず多くの企業が関心を寄せるコンテナ基盤を即座に導入でき、次にGCP上のGKEと合わせ、マルチクラウドの統合環境が構築できるということになる。これは、「Anthosを使えば、アプリケーションレベルのマルチクラウド管理ツールが手に入りますよ」というメッセージでもあるようです。

 

「Google Cloud Platform」をユニークにしているものは何か

ZDNet Japanの海外コメンタリー記事で。2019年4月にサンフランシスコで開催されたGoogle Cloud Next ’19でのGoogleでの各種講演、発表をもとにGoogle Cloud Platformの戦略展開を解説しています。

記事の冒頭にて、Google Cloud Next ’19の基調講演の中で、Google CEOのSundar Pichai氏が述べたクラウドへ移行することの困難さについて表現している箇所を紹介しています。

「クラウドへの移行が進んでいないのは、その道筋が複雑で手ごわく、数多くの困難な意思決定を必要とするためだ。クラウドへの完全な移行に踏み切らずに、どのようにして近代化を推進すればよいのだろうか?移行を進めるなかで、どのようにして互換性のないアーキテクチャー間の橋渡しをすればよいのだろうか?どのようにして柔軟性を維持し、ロックインを避ければよいのだろうか?」

GCPは極めて明確なかたちでコンポーネント化されており、同社の強力なマシンの一部を顧客が賃貸できるようにしている。

また、相互運用性を重視する企業にとって、本質的に異なるプラットフォーム上にあるワークロードが互いに通信し合い、相互運用できない限り、マルチクラウドは意味のある戦略ではないが、Googleはここ数カ月において、マルチクラウド配備への意識と適応性を考慮した「Anthos」と呼ばれるコンポーネントの展開を中心に、ワークロード間の通信と相互運用について声を大にして主張してきている。

また、GoogleはGoogle Cloud Next ’19の場で「Cloud Run」を発表した。これは、コンテナ化されたアプリケーション向けの効率の高い配備プラットフォームです。Cloud Runはサーバーレス開発におけるGoogleの次なるステップ、すなわちサーバーのプロビジョニングや管理にわずらわされることなくアプリケーションのステージングと実行を可能にする、より近代的な方法。つまり、これは顧客がサーバーを意識せずとも済むようにしてくれるものです。

この市場において売上高第3位と推定されているGoogleが、クラウドサービス管理に向けた新たな理念を表明し、そういった理念に基づいた製品を巧妙かつ応用性の高い独創的な方法で提供することで、市場に挑戦し、旋風を巻き起こしていけるかどうかは同社自身にかかっていると述べ記事を結んでいます。