まず10月に発表されたガートナーの調査結果を取り上げているZDnetの記事を紹介します。その後に、AI、IoT、ビッグデータに関する最近よく注目される視点を取り上げている記事を3つほど紹介します

 

AIやブロックチェーンは幻滅期へ–ガートナー、日本の最新ハイプ・サイクルを発表

ガートナー ジャパンが10月11日、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」を発表した内容を取り上げているZDnet Japanの記事です。

2018年現在の日本のICT市場において、ITリーダーがデジタルビジネスを推進するに当たり重要な役割を担う代表的な40のキーワード(テクノロジ、サービス、方法論、プラクティス、コンセプトなど)を取り上げています。

ガートナー リサーチ&アドバイザリ部門 マネージング バイス プレジデントの堀内秀明氏は、「2017年、ピークにあると評価した『AI』『ブロックチェーン』に対する期待はピークを越え、『幻滅期』へと坂を下りつつある。今後、概念実証(POC)や先行事例の結果が公表され、取り組みの困難さが顕在化するにつれて、慎重な姿勢が企業間に広まるものと予想される」と述べています。

また現在幻滅期の谷底から上昇中のビッグデータは、安定期に達する前に陳腐化すると再評価したと語っています。その理由として、ビッグデータの活用に向けた検証や試行は、医療、製造、公共サービス分野、さらには顧客とのエンゲージメントといったさまざまな業種や業務において今後も進むと考えられるが、対象が曖昧なビッグデータという表現は使われなくなり、業種・業務特化型ソリューションの一部として広がっていくと見ているためだとしています。

 

IoT時代のビッグデータ活用に求められるIT基盤像~「データを動かさない」ことが必須条件に

IT Leadersの解説記事です。ビッグデータの活用が進む中でデータ処理基盤の構成方法にも新たなトレンドが生まれていることを解説してくれています。

ビッグデータ活用の黎明期には、分析用のデータベースにデータを集約して分析する方法が採られました。業務のトランザクションはRDBで担い、分析に使うデータは変換処理などを経てDWHに蓄積。各種分析用アプリケーションからアクセスして、レポート作成などをしていました。ETL(Extract/ Transformation/Load)やデータ移動など多くのバッチ処理も行われていました。

しかしながら、このデータ移動はビッグデータでは禁じ手と言われ始めたというのがこの記事のポイントです。テラバイト (TB)やペタバイト (PB)といった単位のデータを扱うとなれば、ネットワークで転送するのは実質的に不可能。できる限りデータは移動させないことが、ビッグデータを処理する上での重要なポイントとして認識されるようになってきています。

こうした背景から、データ基盤として新たに注目を集めるようになったのが「データレイク」であり、核となるテクノロジはHadoopを利用した並列分散の環境とのこと。スケールアップではなくスケールアウトするという意味でもあり、前述の「データを動かさない」という点においても、データがあるところで処理も行われるため、従来型のETLではなく、データ移動を極力伴わない「ELT(Extract/Load/Transformation)型となっているのがポイントとのことです。

 

「ビッグデータ」が「notデータ」でAIマジギレ!? “残念なAI導入”を卒業するには

ITmediaの、AIをめぐる現状について連携している「マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!」からピックアツプしました。米調査会社ガートナーによると、AIは幻滅期に差し掛かっているという話から始めています。

AI導入と称して見境なしに資金を投じた企業は数あれど、大半はPoC(Proof of Concept:検証)止まり。今やプレスリリースを出しても話題にはなりません。広報担当の話題作りが先行したAIでは、「以前導入したAIは何に使ってるの?」「うちの会社でAI製品発表したけど、どうなった?」的な存在になっているものが多くなっていると述べています。

現状、AIて実際に効果が出せる分野についても、具体的にあげてくれています。
・人命や大事故に直結しない
・製品単価が高い事業
などの効果が出る要因をあげているとともに、業種としては半導体など単価の高い工業製品、改善効果が出やすい広告や金融業とあげてくれています。数%の改善でも利益につながり、費用をかけてAIを開発しても元が取れる分野。
それらの分野であれば、長い経験が必要な作業で熟練者のノウハウを数値化し、AIで再現しても良いでしょう。設備の保守点検業務や、杜氏による酒造りなども可能性のある業務としてあげてくれています。時々行う単純作業ではなく、勘と経験が必要な属人性の高い業務はAI(ロボット)で補完していくのに向いているようです。

同様に、AIに向いている分野としてあげているのが、倉庫や物流センター。同じ環境で同じ作業を繰り返し行う業務、人材の確保が難しい分野としてあげています。

一方で、AIに不向きな分野としてとりあげているのが、コンビニのバイト。複雑なルールで例外的な対処も多い業務をAIで代替すると、難易度と費用が跳ね上がるため、人間の方が安上がりになりやすいようです。

 

“気づく力”をAIが代替する時代が来た!「ビッグデータ×ディープラーニング」で成長を続けるヤフーの今

adtech tokyoのキーノートにて、ヤフー代表取締役社長CEOの川邊健太郎氏が行った講演をレポートしているものです。川邊氏は社長就任時に、ヤフーは『データの会社になる』と打ち出しましたが、これはデータの量と質に焦点を絞り、ビッグデータ×AIによって付加価値を生み出せる会社へと転換することを意味するとのこと。

その川邉氏がadtech tokyoという場で、マーケティング視点でのAIのインパクトについて指摘しているのが、「『気づく力』をも技術が代替するようになった」ということです。ディープラーニングという技術の特徴は、大量なデータの中から、人間が定義せずにその特徴や構造を自動的に抽出できることにありますが、マーケティング活用という視点でとらえると、ユーザーがサービスを利用し、データが蓄積され、それをAIで解析することによって人間が気づき得なかった気づきを得ることができるということになるのだと思います。

ヤフーという企業の戦略としては、ディープラーニングを活用することによって得られる、そのような気づきをサービスに反映して、ユーザーの満足度が向上してさらに利用の度合いが高まり、もっと改善していけるというPDCAを高速にまわしていくことを考えているようです。

講演の最後に、今後の「マーケティング革命」として挙げたのは、かつてない規模のオフラインデータとオンラインデータの統合。ヤフーがもっている現状の月間4,500万のIDベースに、同社とソフトバンクによる合弁会社でスタートした決済サービス「PayPay」による決済情報を加えて、一人一人を包括的に捉え、メディア接触から購買まで一気通貫で展開できる販促ソリューションを年度内にもリリースする予定とのこと。特に、ヤフーがECチャネルだけでなくメディアを有していることは、非購買モードのユーザーにアプローチできる点で「我々が企業に提供していきたい最大の特徴」だと位置づけて講演を終えています。