AIの課題や導入に必要な作業を解説している記事を三本と今後のブレークスルー技術についての記事一本を紹介します。

“AIの民主化”を促すグーグルのML/DLサービス群と、それを支える最先端データセンター

デジタルビジネスを加速する専門情報サイト”IT Leaders”が、2018年7月3日に開催されたクラウド&データセンターコンファレンス2018 Summer(主催:インプレス)にてGoogleのGCPデベロッパーアドボケイトの佐藤一憲氏が行った特別講演についてレポートしている記事です。

「AIの民主化」をすすめると標榜しているGoogleがAIとは何で、なにはできるがなにはできないか、現場への導入するために注意すべき点などについて解説してくれています。

まずは、AIをビジネスで活用する際には、「どの程度の精度なら許容範囲か」「人間がやるより顕著に生産性が高いか」「マシンラーニングが間違ったときに、人間あるいはシステムがどうリカバリーするか」といったことを検討する必要があると説明、「期待値制御が重要」だと説明しています。

また、佐藤氏は「ニューラルネットワークとは試行錯誤する関数である」と述べ、次のように説明したとのこと。「関数ということは、入力に対して出力があるだけで、意思や常識を持つわけではない。初めのうちは判断を間違うが、学習を続けるうちに精度が上がってくる。こうした試行錯誤をすることになる」ただし、AIのおもしろいのは、2次元のデータで人間が判断できるものを同じようにできるだけでなく、3次元・4次元と複雑なものにしてもできることと解説してくれています。

また、それらのAI技術を活用するには大規模なコンピューティングパワーが必要となることも多いですが、Googleのクラウドサービスはユーザが大規模なコンピューティングパワーを利用できるように、「DC(DataCenter) as a Computer」のコンセプトでデータセンター全体がひとつの巨大な計算機として動くように設計されているとのこと

 

機械学習はどうやって使うのか――意外と地道な積み重ね

ITmediaが運営する製造業分野を取り扱うメディア “MONOist”の「いまさら聞けない機械学習入門」の後編記事です。機械学習のプロセスは意外と地道な手作業と試行錯誤の積み重ねであり、機械学習を使ったデータ分析と予測モデル作成について説明してくれています。

まずは機械学習を行うには必須の大量のデータの収集について。製造分野でのデータといつた場合には機器のデータとなりますが、機器のデータを取得するといってもどんな種類のセンサーをどこに取り付けるのか、収集の頻度をどうするのか、収集する期間はどのくらいにするのか、といったパラメーターは作業を知る人間が決めるしかないと述べています。AIのツールベンダによる知見というものもないわけではないですが、ほとんどの場合は現場によって異なるので試行錯誤をするしかない
とのこと。

また何よりも重要なのは、ゴール変数の設定。機械学習のゴールは連続値(いわゆる数値)もしくは文字列により、明確に定義する必要がある。何を知りたいのか、また集めたデータから何を読み取れそうか、といったところを考慮して人間が決めなくてはならない。

次にモデルの学習をさせる前に、データの分析を行う必要があると解説してくれています。各種AIツールはこのデータの分析を支援する機能をもっており、それらを活用して不要なデータ項目、追加で収集したほうがよいデータ項目を決めていくことが必要となります。

データを整備したところで予測モデルの作成に移ります。各種ツールには、いろいろな学習アルゴリズムが用意されているので、対象データの傾向やゴールの種類に応じて学習アルゴリズムを選択することになります。作成したモデルを評価するためには、あらかじめデータの2割程度を検証用にとっておき、残りの8割を学習用として使いますが実際にモデル作成をしてみてその結果を評価することにより、どの学習アルバリズムを採用するかの試行錯誤が必要となるようです。

作成した予測モデルは、作成の際に使用したデータの傾向のままであれば問題ありませんが、時間の経過や諸条件の変化と共に予測精度が低下していくことが多いようです。この予測モデルの精度のモニタリングと見直しも人間が担う必要があります。

そして最後に、機械学習は、まずはやってみるのが肝心とのことで締めくくっています。結果が判定しやすく効果が大きいテーマに絞りデータを集めたら、手を動かして実際にやってみることで、どのくらいの手間がかかり、どんな成果が得られるのか知見を得ることこそが財産となるようです。

 

AIのビジネス活用 – 今知っておくべき最新事情

ZDnetのホワイトペーパーです。AIがどのように活用できなにをまず変えるのかを解説しています。

まずは企業のAI利用の現状とまず影響をうける分野をあげています。一つ目はボットとバーチャルアシスタント。現状は簡単な質問に答える程度ですが、小売分野ではすぐにユーザからの問い合わせ対応に広まるだろうとのこと。次に取り上げているのが製造業におけるセンサデータの分析。故障予測や予防保守などに活用が広がるだろうとのことです。

さらに職場におけるマシンビジョョンということで、店舗におけるレジ業務やインフラの老朽化チェック、倉庫におけるロボットにおける出荷作業などにも広がる可能性をひめているとのこと。

一方で、オフィスにおけるAI活用ということでRPA (Robotic Process Automation)も有望ととりあげています。データ入力や会計、人事、サプライチェーン管理などの後方業務は格好の自動化対象とのこと

 

トヨタ自動車フェローが語る、ロボット技術に必要な二つのブレークスルー

日刊工業新聞が運営する「ニュースイッチ」が、トヨタ自動車フェローでトヨタがシリコンバレーに設立した新会社TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)のCEOとなったギル・プラット氏にインタビューした記事です。

10月に開催するワールド・ロボット・サミット(WRS)では展示会としてロボットとの未来が提案されます。WRSは新技術と社会をつなぐ触媒となれるだろうか。そのような自動運転・ロボットそしてAIの今後についてWRS実行委員会諮問会議の委員も務めるギル・プラット氏に聞いたレポートです。

ギル・ブラット氏は、自動運転を実現するために必要なブレークスルーとして、大きく以下のふたつが必要とまず述べています。一つ目はハードウェア。品質と耐久性そしてコストも下げる必要があるとのこと。2つ目はロボットの脳に当たる部分、つまりAIです。

自動運転の実現のためにはクラウドロボティクスを実現する必要があると述べています。一つのロボットが学ぶと全体が学習するシステムを構築することを考えているようです。技術としては分散学習と増分学習、転移学習が必要とのこと。

世界中で無数のロボットが働いていて、すべてのデータを一カ所に集めて学習するのは現実的ではない。分散学習で個々の機体がそれぞれ学習して、それを統合するアプローチを考えているようです。増分学習は段階的に能力を増やしていく仕組み。そして転移学習でシステム全体に技術をシェアする。ロボットが互いに学び合い、能力を伸ばしていく。これはコネクテッドかーとともにロボット分野にも適用できると考えているとのことです。

ロボットは時間をかけ何度もトライできる。そして成功したら無数のロボットの間でシェアできる。無数のロボットがさまざまなタスクに挑戦し、成功したら共有する。ロボットは生き物に比べ、時間と空間の制約がない。徐々に信頼性を高めていくだろうとのことです。