AIアプリケーション構築とはどのようなプロセスでどのような能力・リソースを必要とするか、プロジェクトを成功に導くために必要なプロセスや体制について解説してくれている記事を三本まずご紹介します。その中には、AIプロジェクトだからこそデータサイエンティストの必要性が提示されていますが、最後に、そのようなデータサイエンティストさえ不要とする製品の紹介講演のレポート記事をご紹介します。ただ、AIとITは進化し続け、自動化は進むと思いますが、だからこそ、必要となるのはデータサイエンティストのような幅広い分野をカバーする人材となっていくということではないかと思わされた記事群をご紹介します。

 

AIアプリケーション構築の極意は人とプロセスにあり

ZDnet JapanのZDnet.com翻訳記事で、AIアプリケーション構築のためのプロセスについて、何が大事かについて解説しています。

クラウドコンピューティングにより大規模なコンピューティングリソースもすぐに手配でき、AIツールのオープンソースライブラリやAWS/Azureのようなクラウドサービスでも提供されているので手軽に利用することができるようになっている中で、どこでAIアプリケーション構築がつまづく可能性があるのか、という問題提起からはじまっています。

たとえAIを導入しても、人間系がシステム内に組み込まれている必要があり、むしろ、AIが追加されることによりよりシステムが複雑になり、必要となる能力も幅広くなり、多数の人によるチームによる取り組みが必要となるとしています。

・選択できるフレームワークやツールが数多く存在。業務に見合った適切なツールの選択は難しい作業
・AIのモデルと業務上達成したい目的のすり合わせ
・AIのモデルは一度構築するだけでなくね定常的に検証してモデルの正当性を検証して必要なら修正する必要
・AIを業務に根付かせるための運用への組み込みにも人が必要

機械は前提を置いたり、パターンを洗い出したりするうえでの助けになるかもしれないし、場合によっては意思決定そのものを支援してくれるかもしれない。しかし未来永劫(えいごう)、モデルの背後にある前提や意向と、モデルが進化してきた道筋と理由について、人間が最終的な説明責任を果たさなければならないとしています。

 

「失敗しないAI開発プロジェクト」の作り方をエンジニアに聞いた

2018年1月31日、人工知能(AI)に特化したWebメディア「Ledge.ai(レッジ・エーアイ)」主催のイベント「THE AI 2018」が東京で開催されました。その場で、さまざまなAI開発現場を渡り歩いた現役のエンジニアが、「AI開発プロジェクトを成功させる開発チーム作り」について講演した内容をレポートした、@ITの記事です。

まず話題として取り上げたが、「長期間かけても収束しないAI開発プロジェクトが後を絶たない」点。AIに関して専門教育を受けたサイエンティストがモデルを作り、プロジェクトマネジャーを通してエンジニアに引き渡すプロジェクト形式こそが、トラブルを引き起こすとのこと。

AI専門のサイエンティストがソフトウェアエンジニア、製品テストや仕上げの専門家に交じって話し合いながら、さまざまな視点を開発の早い段階から組み込んで進める開発が必要となるようです。

「優れた予測モデルを作る」点よりも、むしろ「正確かつ分かりやすく、管理しやすい予測モデルを製品化する」点の難しさを何度も強調していたとのことで、やがて、あらゆるエンジニアにとって、機械学習が『ネットワーク』並みの基礎知識になるのでしょうが、それまでは機械学習の重要性を認識してエンジニアが常に最新の機械学習のツールを使って知識やスキルをアップデートできる環境を作れることが開発企業にとって重要になるようです。

 

機械学習プロジェクトの始め方–人材と体制における3つの役割

ZDnet Japanの「今日からできる機械学習」特集の中の記事で、機械学習プロジェクトを進めるために必要な人材や体制について説明しているものです。

機械学習などAIを活用した機能やサービスを作るためには、複数のスキルや強みを保有するチーム作りが必要とのこと。幅広い能力が必要となり、おのおのの分野で専門的な知識を持った人たちが協働して取り組む形を作り上げることが必要となるようです。

機械学習プロジェクトの円滑な遂行には、ビジネスサイドから企画を作る能力、統計などを屈指したモデル作成能力、そして実用に耐えるレベルで技術実装する能力が必要となるとのこと。

このように機械学習プロジェクトは、要求されるスキルの異なる複数のフェーズで構成され、さまざまなスキルを持ったメンバーでチームを作って推進していきます。各フェーズをおおむね理解していて汎用的に対応できるデータサイエンティストをチームの中心に置けることがプロジェクトを成功させるためには重要となるようです。

 

これがあればデータサイエンティストは不要?

ログミーの「SEMICON Japan 2017」でデータサイエンティスト、物理学博士として活躍するシバタアキラ氏が登壇したセッション「機械学習 in 製造業」のレポート記事です。

機械学習を容易に活用できるようにするプラットフォーム「DataRobot」の紹介講演でもありますが製造業の現場が抱える課題を、データサイエンスの力でいかにして解決するか? についてDataRobotの実力をデモも交えてプレゼンテーションしている講演をレポートしています。

まずは、これまでの「データ活用」は「過去」についての分析・知見の獲得であり、AIを取り入れたこれからのデータ活用は、将来なにが起こるかまで予測してくれることが大きく違うという話を講演の導入部としていますが、

AI・機械学習を取り入れたこれからのデータ活用は、さまざまな専門知識が必要となる業務となりいわゆるデータサイエンティストという職種の人間が必要となるといっています。しかし、データサイエンティストに求められる能力は幅広く、今後も含めて不足し続けるだろうということでその解決策としてDataRobotの製品紹介に入っていきます。

DataRobotは、機械学習を行うためのソフトウェアのプラットフォーム。やれプログラミングだ、やれ統計だといってシステムを作るのにいろいろな人を動員せずとも、このソフトウェアのプラットフォームの簡単なUIを使うことによりモデルを作成できるとのこと。また、モデルを作成するだけでなく、データの前処理を行なってくれたり、生成されたモデルの特徴の説明なども出してくれるとのこと。

どんどん進化していくAI、AIが簡単に業務に展開できるようにさまざまなツールが用意されつつある最先端を感じさせてくれる講演です。ただ、だからこそ、特定の専門知識よりもデータサイエンティストのような幅広い分野をカバーできる人がいることが、AI開発プロジェクトを成功に導くためには重要になるのではないかとも思いました。