まずはWiredがあげる2018年に克服すべきAIの5つの課題。次に、ガートナーによるAIに対しての取り組み方についての解説記事を紹介します。FacebookのAI研究のマネージャーへのインタビュー記事、そして最後にサッポロホールディングスによるAI導入の試行錯誤により得られた知見についての東洋経済ONLINEの記事を紹介します。

 

進化が加速する人工知能が、2018年に克服すべき「5つの課題」

WIREDの1月23日の記事。2018年に専門家たちが解決を目指す課題はどのようなものだろうかという視点で、AIをめぐる5つの難題を整理した記事です。

ひとつ目は自然言語処理。テキストや言語を処理するマシンの能力が大きく向上してきており、実用に供されている面もあるものの、ソフトウェアはいまだに、人間が使う言葉や、それを使って共有する考えを十分には理解できるようになっていません。「意味の壁」ともいわれるこの課題に対して、常識や世界に関する知識を与えることにより挑戦している研究者たちがいるようです。

ふたつ目はロボット革命を妨げるリアルティーギャップ。ロボットがわれわれの日常生活で使われるようになるだけの頭脳を獲得するためには、ビッグデータを学習させておけばよいというアプローチもあるものの、その事前に学習させておいたものが必ずしも現場でうまく機能しないというリアルティーギャップが問題になっています。代表的な分野は自動運転。
3つ目はハッキングに対する脅威で、4つ目がboard gameからマルチプレイヤーで遊ぶゲームにAIの挑戦のテーマが移ってきていることです。
そして、最後がAIを安全かつ倫理的な範囲内にとどめておく方法についての議論です。機械学習に関する国際会議なども最近盛んに議論されているようです。

 

2030年に向けて人工知能をどう活用すべきか? ガートナーの見解

今後10年間で最も破壊的な影響を及ぼす技術と見られているAIについてガートナー ジャパン コンサルティング部門マネージングパートナーの中村 拓郎 氏が解説している「ビジネス+IT」の記事です。

さまざまなAIソリューションを提供する新興ベンダーも急増している中、この時代を生き抜くために必要な企業能力とは何なのか。ガートナーは、「AIを使いこなすためのリテラシー」こそが企業の競争力を高め、グローバルプレイヤーにも勝るポジションを確立するためのアクセラレーターになるといっています。

またAIリテラシーには3つの能力があるとのこと。まずは技術価値の波にのりAIを使ってみることができる能力。次に小さい成果からひとつずつ積み上げていく能力。そして3つ目がAIを活用して積み上げてきた価値をスケールできる能力。AI導入は手探りとなってしまう面があり、高度な技術を要する人材も必要となる分野のため、多くの起業がパートナを探すことになりますが、AIの中でも領域ごとに専門ベンダが乱立している状況の中、パートな選定にも難航することが多いようです。

そのようなAI分野のどこから手をつければよいか。ガートナーでは、社内で時間と工数をかけるのではなく、迅速にビジネス課題を解決できるソリューションを導入してシンプルな方法で課題を解決するのがポイントとのこと。また、最先端の技術にこだわらずに、バーチャルアシスタントやチャットボットのようなアプリケーションが顧客体験の向上に有効であり、それらのアプリケーションをいちはやく導入して顧客情報を得て分析していくプロセスがよいようです。

 

フェイスブックのAIがぶち当たった「限界」

今のAIには何ができて、何ができないのか。AIはこの先、どう進化するのか。Facebookの学術的研究を担うチーム「Facebook AI Research(フェイスブック人工知能研究所)」のエンジニアリング・マネージャー、アレクサンドル・ルブリュン氏に最前線の研究についてインタビューを行った東洋経済ONLINEの記事です。

まずは、今日のSNSはAIなしには存在しえないとのこと。不適切なコンテンツを機械的にフィルターにかける機能がない状態では、あっという間に危険なプラットフォームになってしまうので、たとえばタイムラインに写真が投稿されると、暴力的だったり性的だったりして一般に見せてはいけないものではないかをAIではじいているとのこと。また、ネコ好きの人にはネコが写っているものをAIが優先的にみせており、毎日100億枚の写真が投稿されているFacebookのプラットフォームをささえています。
ただ、いわゆる「教師なし学習」に関しては、まだまだ研究段階で10年かけても実用になるかわからないようです。

 

サッポロがAI活用の試行錯誤で探り当てた、働き方改革の「鉱脈」

日経SYSTEMSに掲載された、サッポロホールディングスによるAI活用の試行錯誤して得られた知見と目指そうとしている方向性についての記事を転載しているITproの記事です。

サッポロホールディングスでは、間接業務の効率化を推進する目的で、野村総合研究所のAIシステム「TRAINA(トレイナ)」を導入。第1弾として、間接部門機能を担うグループ会社のサッポログループマネジメントでの実運用を2017年11月に開始。

従来は人手を介して電話やメールで応対していた社内からの問い合わせの一部を、TRAINAで代替。具体的には、TRAINAが備えるAIチャットボットやデータ検索機能などを活用。これらとサッポログループマネジメントが運用するFAQシステムのデータと組み合わせ、問い合わせに対する回答をAIチャットボット経由でユーザーに案内。
この仕組みによって、人手で問い合わせに応じて回答を探し出す時間を削減し、間接部門の働き方改革につなげる。ユーザーにとっても、問い合わせてから回答を得るまでの時間の短縮が期待できるというものです。

実運用に先立って2017年3~4月に取り組んだ実証実験では、ユーザーからの問い合わせ内容の45%はAIで代替できるという結果が出ていたのですが、実運用の開始からおよそ2カ月が経過した時点で期待通りの代替率になっていないとのこと。予想外だったのは、FAQシステムで回答できない問い合わせが実証実験のときよりも大幅に増えたこと。人にはわざわざ問い合わせないような、素朴な質問が増えたようです。

「人には聞きにくい」とユーザーがためらい、自力で必要な情報を探していたことが判明。このような潜在的だった問い合わせにも回答を作成し、FAQシステムに登録しておけば、ユーザー側が必要な情報を見つけ出すために費やしていた時間を削減できる。これが、サッポログループが探り当てた働き方改革の鉱脈とのことです。

試行錯誤は効率が悪いようにも思えますが、まずはやってみることがAIでは正しいプロセスなのかもしれません。